カニを頭に乗せた白い生き物が、400円のカプセルに入っていた
ちいかわのガチャを前にした時、いつも思うことがある。「どうしてこんなに並べたくなるんだろう」と。
キャラクターが好きだからというのはもちろんそうだ。でもそれだけじゃない気がする。ソフビというやわらかい素材の温かみ、ちょこんとしたサイズ感、何より「同じシリーズがずらっと揃った時のあの満足感」——そういうものが全部合わさって、ガチャを回す手が止まらなくなる。
2024年5月に登場したソフビフィギュア第3弾、そのテーマは「カニカチューシャ」だ。
カニのはさみが頭の上に乗っている。それだけで何か笑顔になれる。ちいかわの世界観って、こういう「なんでカニ?」という問いに答えず、ただかわいく存在してくれるのが正解なんだと思う。
第3弾はここが違う
「ちいかわ ソフビフィギュア3」は株式会社キタンクラブより2024年5月中旬に発売。価格は1回400円で、全5種+シークレット1種の構成。サイズは約65〜95mmだ。
前2弾との最大の違いはラインナップの拡張にある。第1弾がちいかわ・ハチワレ・うさぎ・くりまんじゅうの4種だったのに対し、今回はモモンガと古本屋が仲間入りし、更にパワーアップした構成になっている。
初代のラインナップ4種から、シリーズを経るごとに少しずつキャラクターの幅が広がっている。それ自体が一種のストーリーで、シリーズを集め続けているコレクターにとってはその変遷も楽しみのひとつになる。第3弾でモモンガと古本屋が追加されたことは、ちいかわ界隈をちゃんと追いかけているファンにとっては「待ってた!」という感覚だったんじゃないか。
「カニカチューシャ」というテーマの意味
「なぜカニか」という疑問は、ちいかわの原作を追っているとある程度答えが見えてくる。
カニというモチーフはちいかわの世界に馴染みが深い。波打ち際や海辺のシーン、食材としてのカニ、そして「カニカチューシャ」という小物の存在——どこかのんびりとした夏の空気を持ち込んでくれる素材として機能している。
全員の頭にカニのはさみが乗っている、というビジュアルが単純に面白い。でもちいかわの場合、面白さと愛らしさが同居しているところが強みで、カニをつけているのに誰もそれを気にしていない様子がまた愛おしい。
設定上、古本屋の頭のカニばさみは前を向いている。これ、さらっと書いてあるけど、細かい設定まで決まっているというのがちいかわのグッズ制作の真剣さを物語っている。他のキャラがどっちを向けているかも気にして見ると、新しい発見があるかもしれない。
全6種の中身を一つずつ丁寧に語る
カニなちいかわ 主人公らしく、表情は控えめだがどこか誇らしそうにも見える。小さなはさみが頭の上にちょこんと乗っており、全体のバランスが絶妙だ。白いボディにマットな色合いが映えて、並べた棚の中でも素直に目立つ存在感がある。
カニなハチワレ ハチワレらしい頭の模様がソフビで再現されている。立ち方のどっしり感というか、安定感のあるフォルムは他のキャラよりも少し存在感が大きく感じられる。並べた時の「脇を固める安心感」はこのキャラならでは。
ロブスターなうさぎ 5種の中で唯一「カニ」ではなく「ロブスター」という点が面白い。そのこだわりを誰が決めたのか聞いてみたい気もする。うさぎキャラとロブスターの組み合わせは、考えれば考えるほどシュールで、でもなぜか違和感なくかわいい。SNSでも「ロブスターなのが好き」という声が散見されるほどだ。
カニなモモンガ 第3弾から新加入。丸みのある体つきのモモンガにカニのはさみという取り合わせが予想以上にかわいく仕上がっている。第1弾・第2弾を集めているコレクターにとって、モモンガの参加はシリーズの幅が広がった証。並べた時に「あ、今回からいる」という感覚が嬉しい。
古本屋 後述のシークレットと合わせて、今回の第3弾における最大のトピックキャラ。古本屋がソフビになることへの期待は高く、先述の通りカニばさみの向きという細部まで原作の設定が活かされている。ソフビとしての造形でも、古本屋らしい独特のシルエットがちゃんと再現されている。
シークレットは「古本屋」——そのうれしい理由
「シークレットの正体が古本屋」という情報は、発売後すぐにSNSで広まった。
フリマサイトでもシークレットの中身を問うコメントに対して「古本屋」という回答が残っており、実際に入手したユーザーが確認した情報だ。
ということは、古本屋が2体入っていた場合——通常ラインナップの古本屋とシークレットの古本屋を2つ並べる楽しみ方もできる、ということになる。同じキャラでもカラーや表情に差があることもあるので、手に入れたらじっくり比べてみてほしい。
シークレットに古本屋が入ったことへのファンの反応はおおむね好意的で、「古本屋大好きだから引きたい」という声も多かった。シリーズ初参加キャラがシークレットを担うというのは、製作側のファンサービス的なセンスを感じる。
ソフビという素材が生む独特の手触りと存在感
アクリルスタンドでも樹脂フィギュアでもなく、あえて「ソフビ」にこだわっている理由は何だろうと、ガチャを集めていると時々考える。
ソフビ(軟質塩化ビニール)は、触った瞬間の柔らかさと独特の重みが特徴だ。アクリルのぴんと張り詰めた冷たさとは違い、手のひらに乗せると少し温かみを感じるような錯覚がある。おもちゃとしての原点に近い素材とも言える。
イラストに寄せたマットで優しい色合いが、ちいかわソフビシリーズの視覚的な魅力として語られている。
この「マット感」というのは大事で、光沢のある仕上げだとポップすぎてキャラのやわらかい雰囲気に合わない。ちいかわのイラスト独特のふんわりした質感を、マットな塗装で立体に落とし込む選択は、見れば見るほど正解だったと思う。棚に飾っても光が反射して見づらくならないし、全種を並べた時の統一感も高い。
第1弾・第2弾との違い、並べて飾る楽しさ
初代ちいかわソフビフィギュアは2021年10月下旬に発売。ちいかわ・ハチワレ・うさぎ・くりまんじゅうの全4種で、サイズは約50mmだった。
第3弾は約65〜95mmとひと回り大きくなっており、サイズのバリエーションも種類によって違う。同じシリーズで並べてもサイズの差が自然な高低差を生んで、飾り棚の上に賑やかな景色ができあがる。
第2弾はたこぎのハチワレやいかぎのうさぎなど「食材をつけたキャラ」テーマで展開されており、第3弾の「カニカチューシャ」と合わせると「海産物つきちいかわたち」という謎のジャンルが形成されている——というのも面白い見方だ。
3シリーズ全部を揃えると20体近い大所帯になる。テーマ別に並べるもよし、キャラ別に並べるもよし。これだけの数が揃うと、机やシェルフの上に「ちいかわの村」が出現したような感覚になってくる。そこまで揃えたいと思わせてくれるシリーズとして、ソフビシリーズはちいかわガチャの中でも特別な位置を占めている。
入手方法・設置場所・フリマ相場
ガチャ機での入手を目指すなら、キタンクラブ公式サイトの「お取扱い店舗」ページかキタンクラブ公式X(@kitan_club)で最新の設置状況を確認するのがまず一手。gashacoco(ガシャココ)やガシャポンのデパートでも見つかりやすい。
フリマでの相場を整理すると——単品での価格はキャラによって500〜900円前後(送料込み)が多い。シークレット(古本屋)は通常ラインナップの古本屋より若干高めに推移しており、800〜1,200円程度の出品が目立つ。
5種フルセット(シークレット除く)は2,000〜2,500円前後。シークレット込みのコンプセットは6,980円前後という出品例が見られる。
ガチャを回す楽しさを残しつつ、欲しいキャラだけフリマで補うというスタイルが、コスト面でもストレス面でも一番バランスよく楽しめる方法かもしれない。特にシークレットを確実に狙いたい場合は、単品出品を探した方が迷走しなくて済む。
カプセルの中の「カニな世界」を手に入れる
ちいかわソフビフィギュア3は、「カニカチューシャ」というユニークなテーマと、古本屋・モモンガという新顔の参加によって、シリーズの広がりが感じられる一弾だ。400円という価格で、これだけのボリュームと質感のソフビが手に入る。
現在何度目かのカプセルトイブームを象徴する存在として、ちいかわのガチャシリーズは女性ファンも含めた幅広い層を取り込んでいる。
頭の上のカニ。ロブスターなうさぎ。前を向いた古本屋のはさみ。そういう細部のこだわりが、ちいかわのソフビシリーズを単なるキャラグッズ以上のものにしている。並べて眺めるたびに、何か小さな発見がある。それがこのシリーズを「もう一つ欲しい」と思わせ続ける理由だろう。

