ガチャ機のそばで足が止まる瞬間がある。見慣れない形の布製品がサンプルとして貼られていて、猫の頭にすっぽり乗ったひつじの耳が写っている。あれはなんだ、と思って近づいたのが最初の出会いだった、という人も少なくないはずだ。
キタンクラブが展開するねこのかぶりものシリーズは、2015年に第1弾のねこ泥棒を発売して以来、シリーズ累計500万個を突破したガチャガチャの定番商品に育った。猫の頭にかぶせるだけという単純な構造が、10年以上にわたって人々を惹きつけ続けている。
ねこのかぶりものとは何か
シリーズの基本構造
ゴム仕様の留め具がついた布製のかぶりもので、留め具はゴム仕様になっており、愛猫にかぶせてぬいぐるみなどにも使用できる。サイズは首・顔まわり約26〜32cmのフリーサイズで、猫への装着はもちろん、ぬいぐるみやドール、マスコットに合わせる楽しみ方も広がっている。
価格は400〜500円が基本で、1回のガチャで全5〜6種からひとつがランダムで出てくる。フィギュアでも実用品でもなく、「かぶせる」という行為そのものを目的にしたカプセルトイが成立したことは、発売当時かなり異色の試みだった。
誕生から現在まで
2015年にキタンクラブ初となる猫専用のカプセルトイとして、猫が泥棒に変身できるかぶりものを発売して以来、ひつじやうさぎなどの動物シリーズから、ふなっしーやハローキティなどのキャラクターシリーズまで展開し、シリーズとして定着した。
これまでに泥棒、ひつじ、うさぎ、ふなっしー、サンリオなど、様々な動物やキャラクターたちに変身できるアイテムが発売され、猫ちゃんにかぶせるのはもちろん、ぬいぐるみに着せて楽しむ人もいるなど、遊び方の幅も広がっている。
歴代シリーズの全体像
動物テーマ系
シリーズの歴代ラインナップには、ねこ泥棒・ねこずきんちゃん・かぶりものなっしー・ねこひつじちゃん・ねこうさぎちゃん・ねこひつじちゃんほっこりリラックスカラー・ねこ泥棒ふんわり和カラー・ねこフルーツちゃん・ねこの水族館・ねこうさぎちゃんスイーツカラー・ねこハロウィンちゃん・サンリオキャラクターズ・クリスマスちゃん・ねこくまちゃん・ねこフラワーちゃん・ねこハートちゃん・ねこ野菜ちゃん・ねこイースターちゃん・ねこキャンディちゃん・ねこフルーツちゃん2・ねこくまちゃんパステルカラー・ねこの水族館2・ねこハロウィンちゃんパーティカラー・星のカービィ・セサミストリート・ねこクリスマスちゃんホワイトクリスマス・タヌキとキツネなどが並ぶ。
動物テーマの中でもひつじ・うさぎ・くまは複数回登場している。同じ動物でもカラーや素材感を変えて再登場するため、コレクター的な楽しみが生まれやすい。
キャラクターコラボ系
ふなっしーから始まったキャラクターコラボは、サンリオ・セサミストリート・星のカービィと広がり、近年ではちいかわとのコラボで2023年10月下旬に発売されたねこのかぶりもの ちいかわは、ちいかわ・ハチワレ・うさぎ・くりまんじゅう・モモンガ・シーサーの全6種構成で、価格は1回500円だった。
2024年10月下旬にはスイカゲームとのコラボが発売され、スイカ・りんご・デコポン・メロン・パイナップルの全5種が展開された。
人気コンテンツとのコラボが猫好き以外のファン層へシリーズを届ける経路になっていて、ちいかわ目当てで初めてねこのかぶりものシリーズを知った、というケースは実際に多い。
10周年記念アイテム
2025年12月には人気のねこのかぶりものシリーズ10周年を記念したアクリルチャームが発売され、シリーズ1作目から最新作までのねこちゃんたちが大集合する形で展開された。
10年分のシリーズが一つのアクリルチャームに凝縮されたこの商品は、長く集め続けているファンへの一種の答え合わせとして機能している。
猫がいない人でも楽しめる理由
ぬいぐるみ・ドールへの活用
サイズが合えば猫以外に小型犬、うさぎ、ぬいぐるみ、ドール、フィギュア、マスコットにも使えるとされており、幅広い用途で楽しまれている。
猫がいない状態でこのガチャを買う動機はSNSにある。ぬいぐるみにかぶせた写真を投稿すると反応が来やすく、ガチャを回す→かぶせる→写真を撮るという一連の流れが一つの遊びとして完結する。猫がいないことは障壁にならないと考えていい。
コレクション要素
全種揃えてテーマ別に飾る楽しみも根強い。特に動物系はシリーズをまたいで同じモチーフが色違いで存在するため、うさぎだけを系統立てて並べる、といったコレクションの作り方もできる。
設置場所と入手方法
ガチャ機で回す
ねこのかぶりものシリーズは東急ハンズ・ロフト・ヴィレッジヴァンガード・ヨドバシカメラ・ビッグカメラ・イオンモールに卸されていることが多い。設置状況は店舗ごとに異なるため、事前にキタンクラブ公式X(@kitan_club)で最新情報を確認してから動くのが確実だ。gashacoco(ガシャココ)でも扱われることが多い。
再販情報を追う
2025年2月には、ねこくまちゃん・ねこうさぎちゃん・ねこひつじちゃん・ねこフルーツちゃんの4商品が再販され、一部カプセルトイ売場に順次並んだ。
過去のシリーズは再販のサイクルが比較的ある。最新のみ追うより、欲しいシリーズをしぼって再販告知を待つスタンスが実際には動きやすい。
フリマでの単品購入
メルカリやYahoo!フリマでは単品出品が常時並んでいる。相場は1種あたり400〜800円前後で、人気コラボ作品やレアカラーはやや高めに推移する。コンプセットは定価相当から若干割高になる出品が多い。特定のキャラクターや色を確実に手に入れたい場合は、ガチャを何度も回すよりフリマで単品を買う方が結果的にコストが抑えやすい。
シリーズが10年続いた理由
猫という対象の面白さは、かぶせた瞬間の反応が毎回違うところにある。おとなしく受け入れる猫、すぐに振り払う猫、そのまま歩き回る猫。どういう結末になるかがわからないため、同じかぶりものでも写真の表情が毎回異なるものになる。
加えて、テーマの選択が毎回幅広い。動物・季節・キャラクターという三方向に展開しながら、どのシリーズにも猫好きとは別の層の入り口がある。ちいかわのファンがかぶりものを知り、かぶりものを知った人がほかのシリーズを遡る、という導線が何年も循環している。
シリーズとして30弾以上に及ぶガチャが続いていること自体、ガチャ市場においてはかなり異例だ。ゴムひも一本で猫の頭に固定するだけというシンプルな構造が、変わらない核として機能し続けている。

