SDガンダム外伝という「もうひとつのガンダム」
1988年、バンダイのカードダス20という自動販売機の中に、鎧をまとった騎士のガンダムが現れた。剣と魔法の世界「スダ・ドアカ・ワールド」で騎士ガンダムが悪の魔王サタンガンダムに立ち向かう。通常のガンダムシリーズとはまったく異なる世界観で、SDキャラクターがファンタジーRPGの住人として動き回る。
SDガンダム外伝は剣と魔法の世界「スダ・ドアカ・ワールド」に突如出現した悪の魔王サタンガンダムと、それを倒すために立ち上がった勇者・騎士ガンダムを軸にした物語で、バンダイのベンダー機カードダス20から始まったRPG風の世界観にSDガンダムが勇者やモンスターとなって縦横無尽に大活躍した作品だ。
ガチャガチャを毎週巡る50代として、SDガンダム外伝のカードダスには特別な記憶がある。あの自販機の前に立ってレバーを回したとき、騎士ガンダムが出るか、魔王系のカードが出るかで一喜一憂した。あの体験の現代版がミニミニカードダスとして復活したとき、胸の奥で何かが動いた。
SDガンダム外伝の魔王たちという存在
SDガンダム外伝の世界には、複数の「魔王」が登場する。これが「十魔王」という概念の源流だ。サタンガンダムを筆頭に、各シリーズで異なる強大な敵が登場し、騎士ガンダムたちと対峙する。
魔王系キャラクターはカードダスにおいて「強力なレアカード」として位置づけられることが多く、引いたときの価値が高い存在だった。フォイルカードやホロカードになって輝く魔王の絵柄は、当時の子どもにとっての「当たり」だった。この構造が、現代のガチャガチャのシークレット・レアリティ設計の原型のひとつだと思っている。
ミニミニカードダス SDガンダム外伝シリーズ:全3弾
令和に復活したSDガンダム外伝カードダスの最前線がミニミニカードダスシリーズだ。
第1弾:ジークジオン編
第1弾はSDガンダム外伝第1シリーズ「ジークジオン編」より全8種ラインナップで展開された。500円で1セットにホロカード1枚を含む6枚のカードが収録されている。
ジークジオン編はSDガンダム外伝の原点で、サタンガンダムという最初の魔王との戦いが描かれている。この弾でシリーズが復活したことは、SDガンダム外伝というIPへの需要が30年以上経った今もあることを証明した。
第2弾:円卓の騎士編
第2弾はSDガンダム外伝第2シリーズ「円卓の騎士編」より全8種ラインナップで、1セットにホロカード2枚を含む12枚のカードを収録と大幅に強化された。
円卓の騎士編は騎士ガンダムの仲間たちが集い、より大きな敵に立ち向かうシリーズで、登場キャラクターの多さが特徴だ。第1弾よりカード枚数が倍増しているのは、シリーズへの信頼と需要の高さが確認されたからだと思う。
第3弾:聖機兵物語
第3弾はSDガンダム外伝第3シリーズ「聖機兵物語」より全8種、1セットにホロカード2枚を含む合計12枚のミニミニカードが付いた大ボリュームで2024年5月第2週に500円で発売された。
聖機兵物語はSDガンダム外伝の中でも人気の高いシリーズで、機械の戦士たちとの戦いが展開される。ジークジオン→円卓の騎士→聖機兵という流れで弾が進むことで、SDガンダム外伝の主要シリーズを順番に辿る設計になっている。
ムゲンガシャポン:無限に回せるSDガンダム外伝
ミニミニカードダスと並行して、まったく別のアプローチの商品もある。
「ムゲンガシャポン SDガンダム外伝 ジークジオン編」および「ムゲンガシャポン SDガンダム外伝 円卓の騎士編」が展開されている。ムゲンガシャポンは無限に回せる玩具のガシャポン筐体で、SDガンダム外伝の世界観を自宅で体験できる。
ムゲンガシャポンとは、手動で何度でも回すことができる玩具の筐体だ。カプセルを入れてレバーを回すという動作を家でいつでも再現できる。子どもが「ガチャガチャがやりたい」というとき、親が「もう1回は無理」と言わなくていい。ミニミニカードダスが「当時のカードダスを手元で再現する」なら、ムゲンガシャポンは「ガチャガチャを回す体験そのものを家に持ち込む」という設計だ。
ガシャポン戦士ダイキャストガンケシ:昭和の消しゴムが令和に復活
SDガンダム外伝の魔王系キャラクターは、ガシャポン戦士系の商品でも継続的に登場している。
機動戦士ガンダム ガシャポン戦士 ダイキャストガンケシが全12種セットのフルコンプとして流通しており、1980年代にブームを巻き起こしたSDガンダムワールドのガンケシがダイキャスト仕様で新登場している。SDガンダムがディフォルメで登場し、騎士・武者・コマンドに加え新作GQuuuuuuXもラインナップされた。
ダイキャスト製ガンケシというのは、かつての消しゴム素材から金属系素材へのアップグレードだ。重みと質感が段違いで、子ども時代に遊んでいた消しゴムSDガンダムを大人になって改めて手元に置くという欲求に応えている。
SDガンダム外伝という世界観のガチャガチャとの親和性
SDガンダム外伝のカードダスが1988年に始まってから、この世界は一貫して「ガチャ的体験」と共存してきた。自販機でカードを引く体験が原点にあり、どのカードが出るかわからないというランダム性がIP全体の魅力の一部だった。
魔王カードが引けたとき、レアカードが出たとき、友達に見せたくなったとき。それはガチャガチャで当たりを引いたときと同じ興奮だ。SDガンダム外伝×ミニミニカードダスという令和版の組み合わせは、あの自販機の前で感じた興奮を現代の設計で再現しようとしている。
ジークジオン編、円卓の騎士編、聖機兵物語と弾を重ねてきたミニミニカードダスシリーズが、次にどのシリーズを取り上げるか。アルガス騎士団、伝説の巨人、黄金神話——SDガンダム外伝には弾にできる物語がまだまだある。魔王系キャラクターが主役になる弾が来ることを、密かに待っている。

